分類 | 鋼種名 | 特徴 |
---|---|---|
オーステナイト系 | SUS304 | オーステナイト系ステンレス鋼材の標準鋼種。耐食性に優れる。 |
SUS304L | SUS304のC量を減らし、耐粒界腐食性を向上させた鋼種。 | |
SUS303 | Sの添加により切削性を向上させた鋼種。 | |
SUS316 | Moの添加により耐孔食性を向上させた鋼種。 | |
SUS316L | SUS316のC量を減らし、耐粒界腐食性を向上させた鋼種。 JIS鋼種のほか水素インフラ向けに耐水素脆性強化鋼種の取扱もあり。 |
|
SUS304N2 | SUS304にNとNbを添加し、強度を向上させた鋼種。 | |
SUS321 | Tiを添加して耐粒界腐食性を向上させた鋼種。 | |
SUS347 | Nbを添加して耐粒界腐食性を向上させた鋼種。 | |
SUS309S | Cr・Niを増量して耐食性、耐熱性を向上させた鋼種。 | |
SUS310S | SUS309Sよりも多くのCr・Niを添加し耐食性・耐熱性を高めた鋼種。 | |
マルテンサイト系 | SUS403 | 焼入・焼戻しにより高強度を得られる。 |
SUS420J2 | 焼入・焼戻し後の強度に優れる。 | |
フェライト系 | SUS430 | 汎用ステンレス鋼。安価で塩化物応力腐食割れを起こさない。 |
析出硬化系 | SUS630 | 析出硬化処理(時効処理)により高強度を得られる。 熱処理温度により強度とじん性のバランスをコントロールできる。 |
オーステナイト・ フェライト二相系 |
SUS329J4L | オーステナイト相とフェライト相を併せ持ち、 耐孔食性・耐SCC性に優れる。 |
分類 | 鋼種名 | 特徴 |
---|---|---|
機械構造用炭素鋼 | S**C | 機械構造用鋼材の代表。幅広い用途に使用される。 |
機械構造用合金鋼 | SCr*** | CrとMnを添加し、焼入れ性を向上させた鋼種。 |
SCM*** | 通称クロモリ。SCr材にMoを添加し優れた機械的性質を持つ。 | |
SNCM*** | Ni・Cr・Moの添加により非常に優れた焼入れ性・強度・じん性を持つ。 |
分類 | 鋼種名 | 特徴 |
---|---|---|
Mn・Cr鋼 | SUP9 | 板ばね・コイルばねやトーションバーの他、様々な用途に使用される。 |
SUP9A | SUP9の成分を微調整した鋼種。 | |
Cr・V鋼 | SUP10 | 焼入れ性とじん性に優れ、コイルばねや大型ばねに使用される。 |
Mn・Cr・B鋼 | SUP11A | SUP9AにBを添加して焼入れ性を大幅に向上させた鋼種。大型のばねに使用される。 |
分類 | 鋼種名 | 特徴 |
---|---|---|
高炭素Cr鋼 | SUJ2 | 一般用軸受鋼として広く使用されている鋼種。硬く耐摩耗性に優れる。 |
一覧に記載がない品目についても、お取扱がある場合がございます。まずはお気軽にお問合せ下さい。
- ・ステンレス鋼
- Feを主成分とし、Crを10.5%以上添加した錆びにくい鋼材。鋼材表面のCrと空気中の酸素が結びつくことで不動態皮膜を形成し、これによって錆を防ぐことができる。
- ・固溶化熱処理
- 合金成分を鋼中に溶けこませる処理。オーステナイト系ステンレス鋼の場合、Cr炭化物の溶体化とオーステナイト組織を形成させるために行う。
- ・析出硬化処理
- 金属化合物を鋼中に析出させることで硬度を増す処理。熱処理温度の調整により、
硬度を変化させることができる。 - ・焼入れ
- 加熱保持後に急冷を行うことで組織をマルテンサイト化して硬度を増す処理。焼入れのままだと靭性が著しく低下し脆くなってしまうため、通常は焼戻し処理をセットで行いじん性を付加する。
- ・焼なまし
- 加熱後徐冷することで鋼を軟化させる処理。
- ・球状化焼なまし
- 加熱後長時間かけて炉冷することで鋼中の炭素を球状に析出させ、通常の焼なましよりも
大きく軟化させるための熱処理。 - ・焼ならし
- 加熱後放冷することで、鋼中の組織を均一化したり残留応力を除去することを目的とした熱処理。
- ・焼入れ性
- 焼入れ時のマルテンサイト化のしやすさ。焼入れ深さが深いと焼入れ性が良いと言える。
焼入れ性を向上させる合金元素の代表としては、Cr、Mn、Mo、B等がある。 - ・黒皮
- 熱間圧延したままの状態(As Rolled)。表面がスケール層(黒っぽい酸化鉄の層)に覆われているため
黒皮と呼ばれる。 - ・酸洗
- 鋼材表面の黒皮を酸性の薬品による処理で除去した状態。梨地状の白っぽい外観になる。
- ・ピーリング
- 鋼材表面の黒皮を切削により除去した状態。酸洗に比べ光沢のある外観になる。
- ・引抜
- 鋼材を断面積より小さなダイス孔を通して引き抜き断面積を減ずる加工方法。寸法精度に優れる。
- ・孔食
- ステンレスにおいて、Clイオン中等の環境で表面の不動態皮膜が破壊され、虫食い状に発生する腐食。耐孔食性を有する鋼種としてはMo系(316)や二相系がある。
- ・粒界腐食
- オーステナイト系ステンレスを500~800℃に加熱した際、Cr炭化物の析出により鋼中のCrが減少することで発生する腐食。再度固溶化処理を実施するか、耐粒界腐食性をもつ鋼種(L付きの低炭素鋼またはSUS321/347)を使用することで防止できる。
- ・SCC(Stress Corrosion Cracking:応力腐食割れ)
- 引っ張り応力(曲げ加工の残留応力など)を受けている箇所から徐々に腐食が進行することで発生する割れ。対策としては、使用環境の改善・残留応力の除去・SCCに耐性のある鋼種の選定等がある。